【社説】 絶体絶命の安倍首相 (原題: Mr. Abe on the Ropes)
支持率低迷が著しい日本の安倍首相は、去る日曜日の参院選での獲得議席が改選121議席中37議席に終わるという事態を受けてもなお、辞任するつもりは無いと強弁している。衆議院の過半数を確保している以上、法律上は辞任の必要は無いわけだが、選挙結果の政治的メッセージは明らかである。職にとどまる決心であるなら、路線を変えるべき、ということだ。
言い換えれば、軍国主義(military nationalism)を鳴り物入りで復活させようという努力に割くエネルギーを大幅に縮小し、実効性のある政策の実施や政府の清廉性向上に振り向けるエネルギーを大幅に拡充すべき、ということである。前任者の小泉首相も軍国主義者(military nationalist)ではあったが、これらを実行したことで指導者として成果をあげることが出来ていたのだ。
この選挙自体は、戦時中の残虐行為の否定や軍事面での制約の緩和、平和憲法の改訂といった安倍首相の民族主義的政策に対する明示的拒絶ではない。だが、現時点における日本外交の主目標が、中国や韓国といった近隣諸国・貿易相手国との間に健全な関係を築くことであるはずだということを考えれば、1930・40年代に日本軍国主義がもたらしたいまだ癒えぬ傷に塩を塗るような行為は賢明とは言えない。
有権者が背を向けたのは、安倍首相が関心があるのは軍国主義復活だけだと彼らが感じたためである。急速な高齢化の中で年金制度を守ること、といった最重要課題を、安倍首相は無視した。また、古い金権政治を打破するキャンペーンの一環として小泉前首相が追放したはずの政治家らを安倍首相が復党させたことも、有権者らを一層離反させる結果となった。
参院選で大勝したのは、野党の民主党だ。民主党の立場は自民党と同じ中道右派だが、安倍内閣の過去10ヵ月のドタバタや不祥事の重荷を負っていない点で自民党とは異なる。もし民主党の勝利が、真の二大政党政治の出現をも意味するものであるならば、それはすべての日本人にとってグッドニュースであろう。
戦後のほぼ全期間、日本は一党支配政治に苦しんできた。一党支配政治の結果、政治腐敗や利益誘導による税金の無駄遣いがもたらされてきたのだ。小泉前首相に人気があったのは、そうした政治風土に正面から立ち向かったからであるが、安倍首相はそうした政治風土に無条件降伏したことで、今や政治的代償を支払わされている。
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