テレビ番組を捏造(ねつぞう)するなんて、とんでもない。しかも、その後の対応が依然として鈍い。「発掘!あるある大事典2」をめぐる動きを見ていて、そう痛感する。
制作した関西テレビは最終報告書を総務省に出した。しかし、千草宗一郎社長は経営責任を明確にしなかった。
一方、民間放送連盟は同社を最も厳しい除名処分にする方針を決めた。
この除名は痛いはずだ。イメージダウンから広告主が離れかねない。民放連がまとめて手がけてきた番組の著作権処理を単独でするには、膨大な手間と巨額の金がかかる。民放連が持っている五輪の放映権を失い、来年の北京五輪を放送できない可能性さえ出てきた。
千草社長はなぜ辞任を先送りしたか。最終報告書の提出という区切りで進退を明らかにすることが、視聴者の信頼を取り戻す第一歩ではなかったか。
せめてもの救いは、最終報告書のもとになった外部の調査委員会の報告書がよくできていることだ。ここに盛り込まれた提言を地道に実行することで、再生への道を切り開くしかない。
提言で目新しいのは、外部の有識者による「放送活性化委員会」だ。第三者の視点で、視聴者の意見や苦情を受け付けて改善や救済を求めるだけでなく、番組作りに無理がないか目を光らせる。
現場が無理なく自由な雰囲気で番組を作れるようになれば、捏造などの危険を減らせるという発想だ。上司が視聴率を気にしてスポンサーにこびる番組を求めてきたような場合、委員会に救済を申し出ればいい。
そのいきさつは自己検証番組「月刊カンテレ批評」やホームページに公表する。これほど番組作りの透明度を上げようというのは画期的だ。
調査報告は下請け、孫請けの構造的な問題にも切り込んだ。たとえば、制作前に手付金として制作費の一部を前渡しすることを求めた。すべて後払いでは、何としても番組を完成させようと無理をするからだ。
こうした知恵をもとに、関西テレビは二度と捏造事件を起こさない態勢づくりを急がねばならない。
それにしても気になるのは、菅総務相の姿勢だ。再発防止策の提出を求め、意見をつけられるようにする放送法改正案を今国会に出す構えを捨てていない。運用次第では、番組の内容に口を出すことになりかねない。
菅総務相は、NHKのラジオ国際放送に対し、拉致問題を放送するよう命令した。さらに受信料の2割値下げを求め、そうしないと受信料の支払い義務化を放送法改正案に盛り込まない、とNHKに迫った。強権ぶりが目に余る。
国家権力が放送内容や制作過程に立ち入れば、表現や報道の自由を侵す。それは社会にとって大きな損失になる。
政府の介入を防ぐためにも、関西テレビは自浄作用を発揮する必要がある。
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